恒川光太郎『夜市』を読んだ感想|架空の世界の描写がすごい

恒川光太郎『夜市』を読んだので、感想をかきます!

 

夜市 (角川ホラー文庫) [ 恒川 光太郎 ]
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未読の方はネタバレ注意です

 

夜市のあらすじ

何でも売っている不思議な市場「夜市」。

幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した裕司だったが、常に罪悪感にさいなまれていた――。

引用:Amazon内容紹介・夜市 (角川ホラー文庫)

 

 

恒川光太郎『夜市』を読んだ感想

夜市はこの世のものじゃないものが売買される場所。

「永久放浪者」」「植物頭髪少女」など、読んでいてわくわくする固有名詞がちりばめられています。

 

「自分と引き換えに、いずみが裕司の弟を買う」という裕司の作戦に驚きました。

てっきりいずみが売られるのかと思っていたので、いずみが連れてこられた意味に納得しました。

 

前半の「夜市」の描写で満足しただけに、これで終わりかと思えばまだ話が続いていてさらにびっくり!

夜市で出会った老紳士の正体がまさか裕司の弟だとは、見事な展開ですよね。

 

最後、裕司と老紳士が闇を進むシーンには悲しさを覚えました。

72万円が入った財布を老紳士に渡すところなど・・・

 

裕司は「欲」を失い、夜市から出られなくなってしまったのですが、ルール通り、夜市の一部となってしまったのでしょうか。

余韻の残るラストでした。

 

「風の古道」を読んだ感想

ともに収載されている「風の古道」もまた味わい深い話でした。

 

世界に隠された道に入りこんでしまった少年たちと、道案内人のレンの旅物語。

「夜市」以上に重層的な構成で読み応えがありました。

 

知らない道に入りこんでしまった恐怖というのは幼いころ誰もが体験したことのある出来事ですよね。

でも、なんだかわくわくしたような気もする記憶。

 

家に帰れるのかな、と不安になる少年の語りだけでなく、道案内人のレンの過去にも触れられるところがいい。

異世界にふれた「この世の人間」の語りと「異世界の人間」の語りが交錯することで、世界観が際立ちます。

これは「夜市」で、老紳士の語りがあった構成と共通しています。

 

少年の一人、カズキがコモリに殺され、レンと「私」は「雨の寺」での蘇生を試みますが条件が3つ。

・養育者がいること。
・同年代の健康な肉体があること。
・お礼のお金があること。

「私」がカズキの身代わりになるしかなく、蘇生は断念されました。

 

しかしここで気になるのが、レンが「雨の寺」で蘇生された人物であること。

「同年代の健康な肉体」はどこで手に入ったのでしょう?

 

特に描写はありませんが、レンの母親である人物が既に恋人の子を身ごもっていたのかもしれませんね。

あるいは女性ならば「同年代の健康な肉体」は不要なでしょうか?

 

古道から出られない永久放浪者であるレンは幸か不幸かわかりませんが、ホシカワの言葉がすごくよかったです。

遠い未来、その肉体は大樹となり、その魂は古道を超えて世界を渡る風となろう。

 

 

まとめ

恒川光太郎のデビュー作となる短編集ですが、世界観がすごいです。

怖さと美しさ。日常と非日常。現実と架空。

ハマる人はかなりハマると思います。

 

「夜市」が気に入った方は、他の著書も読むことをお勧めします❤

 

秋の牢獄 (角川ホラー文庫) [ 恒川 光太郎 ]
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草祭 (新潮文庫) [ 恒川 光太郎 ]
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